Solution 1 市民の動きを把握する交通情報モニタリングシステム

多様かつ詳細なモニタリング体制により地域の交通実態を詳細に把握

 市民一人ひとりが移動を行う際に、渋滞を避けてよりスムーズな移動を行い、しかもそれらの行動が地域や環境にとってプラスかどうかを判断するためには、地域の交通実態を詳細かつ分かりやすい形で把握し、移動・交通情報の精度を向上させることが必要になります。
 これまでもICTの発展とともに道路の混雑状況の把握や、バスや鉄道などの公共交通の運行状況が把握され、その一部はサービスとして人々に提供されてきました。しかし、道路の混雑状況を把握するセンサーは主に幹線道路に設置されており、幹線道路以外の道路の混雑状況が分からないという課題がありました。
 一方で、都市の中には監視用のカメラなど道路の混雑状況を把握する以外の様々な目的のためのセンサーが存在します。これらのセンサーを効率的に活用することで、より多くの道路の交通実態を、より詳細に把握することが可能になります。
 柏ITSスマートシティでは、様々な主体が収集する情報を集約するとともに、集約した情報から先端技術を活用して交通状況を継続的にモニタリングすることが可能となる体制を構築しました。 それにより、これまでに把握することができなかった地域や路線の交通実態をより詳細かつ一元的に把握することを可能としています。

柏地域におけるITSスポットサービス -ITSスポットを活用した交通実態データの取得-

ITSスポットサービスの概要

 ITSスポットサービスとは、日本が進める次世代路車協調システムであり、道路上に設置されたITSスポット路側機とITSスポット対応車載器との間で、5.8GHzの狭域通信を用いて、高速・大容量通信を行うことにより、広域な道路交通情報の提供やプローブデータの収集を行うサービスです。2011年より全国の高速道路を中心に1,600基のITSスポットが整備され、サービスが展開されています。
 ITSスポットサービスには以下に紹介する情報収集機能と情報提供機能があります。

1.情報収集機能

 ITSスポット対応車載器には直近80km分の走行履歴を蓄積することができ、ITSスポット路側機の下を通過した際に蓄積したプローブ情報がアップリンクされます。ITSスポットの情報収集機能を活用することにより、従来の道路交通センサスやパーソントリップ等の特定日1日の交通実態データではなく、24時間365日連続した交通実態データが取得可能となります。24時間365日連続してデータ収集が可能となることにより、一日の中の時間帯別の交通実態のみならず、曜日別の変動や月別、季節別の交通実態が把握可能になることや、大規模な障害が発生した場合の交通実態等の把握も可能となります。したがって、きめ細かな交通実態の把握とそれに応じた道路管理や交通対策の検討に資する基礎データを収集することが可能となります。

2.情報提供機能

 情報提供機能は、道路交通情報や安全運転支援情報をカーナビ上に図形・画像・音声等で提供する機能です。この機能を活用することにより、運転中の道路利用者に対して直接的かつ効果的に情報提供が可能となります。道路利用者に適切な情報提供を行うことで、最適な経路選択や渋滞回避を促すことが実現されるとともに、危険事象を回避することが実現され、交通混雑の改善や交通事故の削減に寄与できるものと考えられます。

■ITSスポットを活用した情報収集・提供スキーム

ITSスポットサービスの概要

 今回、柏地域では、高速道路を中心に整備が進められているITSスポットについて、都市中心部に整備することで、都市中心部を走行する車両のプローブ情報を効率的に収集し、都市部の交通実態を効率的に把握することを目指しています。なお、収集したプローブ情報については、地元自治体や交通管理者等と情報共有を行うことで、より地域の実態に適した道路交通管理を目指していくことを考えております。
 また、ITSスポットの情報提供機能を活用し、道路利用者に対し、利用した経路と最適経路の比較情報や、次回以降に利用を推奨する経路情報、駐車場の満空実態に合わせた駐車場選択情報の提供等を検討しており、将来的には、柏中心部での交通流や駐車場利用の最適化を目指していくことを考えております。

ITSスポットの整備箇所

 柏地域には、中心市街地部に4箇所、柏の葉エリアに1箇所、沼南エリアに1箇所の計6箇所にITSスポットが整備されております。

中心市街地部
柏髙島屋ステーションモール 第一駐車場・第二駐車場、そごう柏店 第一駐車場・第二駐車場
柏の葉エリア
ららぽーと柏の葉 駐車場
沼南エリア
道の駅 しょうなん

■柏地域におけるITSスポット整備箇所

交通情報モニタリング -I時空間MRFを用いた既設カメラの画像センサ化とナンバープレートセンサによる交通状況の把握-

 現在、路側や街路には様々な監視カメラが設置されていますが、通常は監視に用いられるのみで、そこで得られる画像はデータとして活用されていません。時空間MRFを用いた既設カメラの画像センサシステムは、道路や交通の監視以外には活用されていないライブカメラの映像から低コストで交通量、速度等の交通基礎データを収集するシステムです。
 柏地域においては、ナウキャストシミュレーション用の交通データの収集を目的として、国道6号に設置されているライブカメラの映像をインターネット回線を通じて収集し、時空間MRFモデルによる画像処理を行い、車両1台毎のパルスデータ(2車種分類・地点速度)、5分ピッチの交通量、及び交通状況を把握するための静止画(1分に1枚程度)をデータベースサーバに蓄積するシステムを構築し、試験的に運用しています。

 ナンバープレートセンサシステムは、ナンバープレート読み取り装置(Oc-i)から得られるナンバープレート情報を通信によりデータベースサーバへ転送し、データをマッチングすることでネットワーク内の交通状況(地点間の旅行速度等)をリアルタイムに把握するシステムです。
 また、ナンバープレート情報の特性を活かして、OD別、車種別の車籍地の把握や車種分類(営業区分:自家用車、事業用車)とあわせることで、業務や、日常、物流などの大まかな利用特性が把握できます。
 柏地域においては、ナウキャストシミュレーション用の交通データの収集を目的として、仮設型ナンバープレート読み取り装置を当該地域の主要渋滞ポイントである呼塚交差点を中心とした国道6号、16号に設置し、設置地点の交通量(日別、時間帯別)、交通特性(OD交通量)、時間帯別旅行時間などの交通基礎データの収集しています。

>>一覧へ戻る