2021年5月11日現在
部会名 | 新車両検討部会 |
テーマ | 地域内の移動手段の選択肢拡大に向けた新たな交通モードの導入検討 |
部会長 | 東京大学 藤本 博志 教授 |
令和3年度までの主たる活動内容
- 1.ワイヤレス充電システム
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- 公道での実証実験に向けた体制を整えた。図1に示すように三井不動産が開設したKoil Mobility Fieldでの、走行中ワイヤレス給電に可能な車両を用いた初の学外実験を開始している。研究成果の実証実験を行うほか、オンライン講習会などを実施して本技術の周知にも取り組んでいる。また公道での実証実験を行うために、新車両検討部会の中にワイヤレス給電実証協議会を設置し、モビリティの研究をさらに加速する体制ができた。
- 研究面では、電力伝送に用いるコイルの低コスト化や小型化、高出力化を実現できるコイル設計手法の構築や高効率動作を可能にするシステム制御法の開発などを行った。また高効率な受電を実現する自動停車制御開発も実施している。
- 2. 柏の葉キャンパスタウンを舞台にしたモビリティシステムの検討
- (1) 本会が国土交通省の超小型モビリティ認定により柏市内の公道走行認定を取得した2台の2人乗りコムス(金さん号・銀さん号)車両の車検が完了した。これに伴い、当初予定からは発展(変更)となったものの、県内・館山市にて、東京大学新領域研究科の岡部明子研究室・小竹元基研究室と協同して、実験協力者を得て一定期間の試乗実験を始めた(図2)。これに際して、国土交通省から、当該車両を館山市および隣接する南房総市全域で一時的に公道走行する許可を得た(2022年1月15日から3月31日まで)。これは当該許可としては長期かつ広範囲(2市の全域)であり、この間に様々な利用形態の知見を得られると考えられる。
- (2) 一般社団法人NNCモビリティの製作した試作1号車および、江戸川区22世紀産業教育振興協議会の製作した「Mignon(ミニヨン)江戸川号」を上記館山市で東大車両とともに展示した(図3)。これは、本会、東京大学、群馬大学CRANTS(次世代モビリティ社会実装研究センター)、江戸川区22世紀産業教育振興協議会、自産研(次世代自動車産業研究会)などで始まった超小型モビリティ実用化の動きを維持発展させ、国土交通省関東運輸局の「超小型モビリティ関東連絡会議」とも連携して、このサイズの2人乗り超小型モビリティ車両が公道を走行できるような制度の策定を促進するために行ったものである。また、2021年6月28日から道路交通法施行令が改正され、コムスなどの「原付ミニカー」の荷物の積載量が従来の30kgから90kgに緩和された。これは、第1種原動機付自転車に含まれる車両としては1960年代からほぼ60年ぶりの緩和であり、この積載量は、人間1人(60kg)+荷物30kgと同じであるため、2人乗り超小型モビリティの規格実現と併せて動向を注視している。

図3 館山市で行われた試乗会と車両群(2022年1月29日)
右から:東大・新型コムス、東大・旧型コムス、柏ITS推進協議会/東大・2人乗りコムス「銀さん号」、江戸川区22世紀産業教育振興協議会・「Mignon(ミニヨン)江戸川号」、一般社団法人NNCモビリティ・1号車
- (3) 上記(2)の国土交通省関東運輸局「超小型モビリティ関東連絡会議」に参加した日産自動車株式会社より、超小型モビリティ車両(日産ニューモビリティコンセプト=ルノー・ツイジー)1台を譲り受け、 (1)の金さん号・銀さん号と同様の超小型モビリティ認定を、2022年2月4日に取得した(図4)。この認定に際して、(1)の2台とは異なり、走行地域として柏市内に加えて隣接する流山市内も含めた。これにより、敷地西端がほぼ流山市に接している東京大学柏キャンパス周辺での試乗実験が以前より円滑に進むと考えられる。なお、原稿執筆時点では、認定後の車検を受ける準備をしている(2022年3月中に車検取得予定)。
令和4年度の活動計画(案)
- 1.ワイヤレス充電システム
- 本年度は、実際の道路環境などにワイヤレス充電システムを導入した場合を想定した研究開発を行う予定である。具体的には、
- 交差点付近に設置するワイヤレス充電システムの設計・制御法の検討
- 自動走行技術も含めたワイヤレス充電システムの自動停止制御法の検討
- 道路上の金属異物検知手法の検討 などを行う予定である。
- 2. 柏の葉キャンパスタウンを舞台にしたモビリティシステムの社会実証実験
- (1) 昨年度までの研究活動の項で述べた、館山市での試乗実験を行い、超小型モビリティの利用についての知見を得る。また、引き続き、柏地域での試乗実験も計画・実行する。研究活動(3)の項で述べた、日産ニューモビリティコンセプト車両の車検完了後、試乗実験の準備を行う。
- (2) 本会、東京大学、群馬大学、江戸川区22世紀産業教育振興協議会、自産研などとの連携を進め、各組織での超小型モビリティ実用化の動きを促進する。